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住居とは全く違う基準

利回りを計算する不動産会社社員

不動産査定の中でも特殊な査定基準とリセールバリューがあるのが投資物件です。
通常のマンション・戸建ての場合は取引相場や地価相場が基準になりますが、投資物件の場合は収益還元法によって査定(鑑定)評価することが一般的です。

そもそも投資物件とは?

投資物件は大きく分けてインカムゲイン(所有して家賃収入で利益をあげる)キャピタルゲイン(買値より高く売る事で売却益を狙う)の2種類のタイプがあります。
一般的な投資物件はインカムゲインとして賃貸向けの物件になります。

キャピタルゲインを狙う不動産投資の場合は、その地域や物件が将来価値が上げると見込む物件の売買をするわけですが、査定基準については通常の物件と変わりはありません。
取得時にリセールバリューが高いと見込める物件がキャピタルゲイン向けの物件となります。
居住やインカムゲイン目的で所有した物件が地価の上昇で結果的に取得価格より高く売れてキャピタルゲインを得る事もあり、こうした賃貸+将来の売却で査定額を計算する方法もあります。

インカムゲイン狙いの投資物件としては、ワンルームタイプファミリータイプがあります。
このようなマンションの区分所有ではなく、1棟所有の不動産投資もありますが、こちらも地主やプロの投資家向けの話になるので、今回は割愛します。

1Kや1DK、1LDKなど1人暮らし向けの物件も大きく分類すればワンルームタイプの1種と捉える事ができます。
ワンルームタイプの投資物件は取得費用が安く、利回りが高いメリットがあります。また、空室になってもすぐに借り手が見つかりやすく不動産投資に最も適した物件と言われています。

ファミリータイプは一度入居者が入ると長期滞在される事が多いメリットがありますが、取得費用が高く利回りがワンルームタイプに比べて見劣りする、空室期間が長期化しやすいといったデメリットがあります。

近年では東京などの大都市で、投資向けとして開発したワンルームマンションが増えています。
投資物件には定義がなく、それまで居住用で保有していて、一般向けで売りに出ているマンションや戸建てを投資物件として取得される投資家もいます。

収益還元法とは

投資物件の場合、査定時に広く使われているのが収益還元法です。
収益還元法は直接還元法DCF法の2種類があります。

直接還元法

年間純収益÷還元利回り=収益還元価格

計算式だけ見ても用語が多くて難しく感じると思うので、シンプルに解説します。
年間純収益とは年間の家賃収入から管理費・修繕費・税金・損害保険料・空室等損失相当額等を差し引いた金額です。

例えば家賃が10万円だと年間で120万円の収入があり、管理費、修繕費が月々各5千円だった場合合計で年間12万円。
そこから税金、保険、空室損失などを加えて合計20万円と計算した場合で100万円が年間純収入になります。
直接還元法で大きく影響するのが還元利回りです。これはその地域や同じマンションの物件の利回り相場が基準になります。

極端に言えば、土地や戸建ての場合に適用される坪単価相場の投資物件バージョンの指標のようなものです。
近隣の投資物件の利回りから相場を調べて、還元利回りを計算します。
大手サービスだとHOMES不動産投資のWEBサイトからエリアごとの利回り相場等を検索できます。

例として、家賃年間120万円、年間諸費維持費20万円で年間純収益100万円で還元利回り7%の場合、
100万円÷0.07(7%)=14,285,714円が直接還元法で求める収益還元価格です。

ちなみに同じ条件で還元利回りが4%だと25,000,000円になります。
還元利回りが低いほど、収益還元価格は高額になります。

これはどういう事かと言うと、直接還元法による計算は、家賃収入とその地域の利回りの相場で運用するためには、この価格で取得しないと計算が合わないと逆算して求めているからです。
家賃収入が少ないのに、利回り10%を求める場合は安く取得しないとその利回りにならないといった理屈で、還元利回りが高いほど収益還元価格は安くなります。

DCF法

保有期間中(将来)に得られる純利益と期間満了後の売却によって得られる想定価格(復帰価格)を、現在価格に割り引きて合計した金額が評価額です。

こちらは、直接還元法よりかは計算式や理屈が直感で理解しやすいですが、具体的に数字で計算するには難しい話です。
見て分かる通り、家賃収入だけではなく、一定期間家賃収入を得たら、その後売却することも前提にして求める収益分配法です。

要するにインカムゲインとキャピタルゲインの2つの利益を考慮したものになります。
ここまでは簡単なのですが、DCF法でポイントになるのが、現在価格に割引する点です。

これは家賃収入を減額して計算することになります。
余談ですが、DCFはディスカウント・キャッシュ・フローの略語で、割引する計算法という意味です。
割引する理由は、投資物件を取得して家賃が10万円だった場合、最初にもらえる10万円と5年後など時間が経過してからもらえる10万円では価値が違うという理屈です。

不動産投資をせずに銀行にお金を預けて利息をもらったり、有価証券などを保有して確実に配当利回り収入を獲れる所を、資産をこうした不動産投資した事で他の収入を得る機会損失が発生するといえば少しは分かりやすいでしょう。

具体的な計算方法は、

年間家賃÷((1+割引率)×年数の乗) = 割引現在価格

年数の乗は1年目は1乗、2年目は2乗といったように係数をかけていきます。
保有期間が長いほど、割引率が高くなる仕組みです。

一例として年間割引率3%で、家賃収入年間100万円、保有期間10年で10年後に1,000万円の想定売却価格の場合を紹介します。
まず割引計算価格を考慮せず、年間100万円の家賃収入を10年受け取って10年後になおかつ1千万円で売ると合計2千万円が純粋に受け取れる金額です。
DCF法を使うと以下の計算になります。

1年目 100万円÷((1+0.03)×1乗) = 970,874円
2年目 100万円÷((1+0.03)×2乗) = 942,596円
3年目 100万円÷((1+0.03)×3乗) = 915,142円
4年目 100万円÷((1+0.03)×4乗) = 888,487円
5年目 100万円÷((1+0.03)×5乗) = 862,609円
6年目 100万円÷((1+0.03)×6乗) = 837,484円
7年目 100万円÷((1+0.03)×7乗) = 813,092円
8年目 100万円÷((1+0.03)×8乗) = 789,409円
9年目 100万円÷((1+0.03)×9乗) = 766,417円
10年目 100万円÷((1+0.03)×10乗) = 722,438円
売却価格 1,000万円÷((1+0.03)×10乗) = 7,224,389円
合計 14,871,799円

このように10年で割引率が3%だと約513万円の割引が行われます。計算式は複雑ですが、現実味があり、より精度の高い計算方法になります。
ただし、家賃収入を年間100万円としか計算しないと、経費や空室リスクが含まれていないため、割引現在価格よりさらに安く購入しないと採算が合わなくなってしまいます。

また保有期間を何年で計算するかによっても金額が大きく変わってきます。
近年は低金利化が進み割引率が下がるので売却には有利な条件が出やすいです。

投資物件評価の専門知識がある会社へ

投資物件は収益還元法で評価額を算定できます。
直接還元法とDCF法では、一般的にDCF法の方が信ぴょう性が高く、販売時にはDCF法による表記がないと売れないとも言われています。

しかし、どちらの計算方法を活用するにしろ、還元利回りや割引率ひとつ取っても、評価額は大きく変わってきます。
また、DCF法の場合は将来の想定売却価格は裁量による部分が大きいです。

自分自身で計算したり、内容を理解することは大切ですが、最終的には専門知識があるプロの買取業者に相談する必要があります。
投資物件に強い業者を中心に納得いかなければ複数社から話を聞いてみると良いでしょう。